走れ!吉之助(管理人tsubuの日々奮闘日記・平成13年8月〜12月)


(この日記は、西郷隆盛や幕末・維新史にはまったく関係なく、管理人の趣味や日常生活、雑談などを中心に書いています。また、旅先での出来事や旅日記もここで書くつもりでいます。)



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平成13年12月4日(火)<曇時々雨> 「恐ろしきカップル」
 今日は仕事から帰ると、部屋に荷物をポーンと投げ捨て、すぐに自転車に乗って一駅向こうのレンタルビデオ屋さんに直行しました。友達から、すごくオススメの映画(邦画)を教えてもらっていたので、それを借りに行くためです。えっ?映画のタイトルはですか?それは内緒です(笑)。
 ともあれ、自転車で「TSUTAYA」に向かった私は、そこで目的のビデオをゲットし、家に帰る途中、「ちょっとお茶でも飲んでいこうかなあ。」と思い立ち、帰り道のある喫茶店に入りました。この喫茶店はたまに行く店で、なかなか美味しい紅茶を出す店なんです。私は自転車を店の前に止め、店内へと入りました。入口でスポーツ新聞を取った私は、席の方に向かうと、客は一組のカップルだけしかいません。しかし、そのカップルはただならぬ雰囲気であることは、男の直感(笑)ですぐに分かりました。シーンとした店内に、そのカップルは一言も話すことなく、ずっと下をうつむいているのです。
(あっ、やばい時に入ってきたなあ・・・。)
と私は瞬時にそう思ったのですが、もう「時すでに遅し」ですね。仕方なくそのカップルの2席挟んだ隣の席に座りました。と言うのは、この喫茶店は店内が結構狭いので、どうしても席が近くなってしまうのです。
 席に座ると、ウエイトレスが水を運んできて、「ご注文は何になさいますか?」と満面の笑みで話しかけるので(←当たり前!)、「ミルクティーをもらえますか。」と、こちらも満面の笑みを浮かべて返答したのですが、その瞬間、今までずっと沈黙していた2席離れたカップルの女性の方が、

「あんたが悪いんよ・・・」

と、ぼそっと呟いたのです。一瞬、私は自分に向かって言われたのだと勘違いし、そのカップルの方を見ました。しかし、当然、その言葉は私に向かって発せられたものではなく、ずっとうつむいたままの相手の男性に向かって発せられた言葉でした。そのカップルは、歳は何歳くらいかよく分からなかったのですが、顔を見るからには男性の方が年下である感じです。今流行りの「姉さんカップル」なのでしょうか。私は、このカップルがただならぬ雰囲気を発しているのは、入店以来感じていたのですが、その女性の一言で、その予感は確信へと変わりました。その女性は、もう一度「あんたが悪いんよ・・・」と言うと、うつむく男性をずっと睨みつけているのです。

(ケンカしてるのかなあ・・・、それとも、別れ話か・・・。)

私は、このカップルのただならぬ雰囲気に、早くミルクティーを飲んで家に帰ろうと思いました。そして、二人の会話を出来るだけ聞かないように、と心掛けようと思ったのですが、人間って、他人の会話を聞かないようにしようと思えば思うほど、耳に全神経が集中し、余計に聴力が増すことを改めて感じたのです(笑)。
 カップルの女性が二度同じ事を言ったにも関らず、男性は相変わらずうつむき、テーブルの上を見つめたたままなのです。男性は、まるでテーブルの上に置かれているスティックシュガーが、何本あるかを数えているかのように(笑)、ずっとうつむき、テーブルを凝視したままなのです。

(あの男、どんな悪いことをしたんやろ。浮気か・・・、それとも、冷蔵庫に冷やしてあったプリンを勝手に食べたんか・・・(←それは私の弟です!爆))

などと私が色々と想像を膨らませている内に、ミルクティーが私に運ばれてきました。ウエイトレスはまたもや満面の笑みで、「お待たせいたしました。」と言うので、こちらも満面の笑みで「ありがとう。」と答えたのですが、その瞬間、またもカップルの女性が吐き捨てるかのような口調で発言したのです。

「あんた約束したでしょ!」

私はその女性の迫力に一瞬ビクッとし、背筋が伸びました。
(おいおいおい、あの男、何を約束したんや?浮気は絶対しないという約束か?それとも、もしかして、買い置いたプリンは絶対食べないっていう約束でもしたんかなあ・・・(←もう、ええちゅうねん!)。)
私はまたもその女性の言葉から色々と想像を膨らませていたのですが、女性はもう一度、「あんた約束したやんか・・・」と同じ事を、今度は小さな声で男性に向かって言いました。その女性、後で考えて見たら、いつも同じ事を二度言うクセがあるようです(笑)。
 しかしながら、男性は、その女性の言葉に反応することもなく、ずっとうつむいたままなのです。男性は、今度は、まるでテーブルの上に置かれたつまようじの入った入れ物に、何本つまようじが入っているのかを数えているかのように(笑)、ジッと目線をテーブルの上に向け、うつむいたままなのです。そんな男性の態度に腹が立ったのか、女性は、

「約束破ったあんたが悪いんやから・・・」と言った後、一言、重い口調で言いました。

「別れましょう・・・。」

(どひゃ〜、出てしもた。禁断の一句が。おいおいおい、あの男、何とか言えよ。浮気したんなら、謝ったらええねん。「すいませんでした。許して下さい。」って。)

私は攻められ続ける年下っぽい男性に、心の中でテレパシーを送るかのように、そう思っていたのですが、男性は女性の「別れましょう。」の言葉にもピクリとも反応せず、一言も発しません。
 ここから1分間くらい、カップルの間に沈黙の時が流れました。私はミルクティーをすすりながら、スポーツ新聞を読むフリをして、ちらっちらっと二人の動向を見ていましたが、お互い無言のままの膠着状態です。私は、思わず二人の間に割って入って、

「この勝負、ドロー。」

と両手を広げて言いたい衝動にかられましたが、そんな事が出来るはずもありません(笑)。しかし、この膠着状態を根っこからひっくり返すような超爆弾発言が、次に女性から飛び出すことになるのです。

彼女は、「あんたが悪いんよ・・・」と本日3回目のセリフを口にした後、次のように言いました。


「あんた、私の素顔は絶対見ないって約束したじゃない!」


(何??素顔は見ない???)
(こっ・・こっ・・・こわ・・・コワイよぉ〜!!!)

女性が発した思いもかけない言葉に、私は背筋が完全に凍りつきました。まるで、着ているシャツの首元をめくられて、背中に冷たい氷を入れられたかのように。

(おいおいおい!!!、男がした約束って、あの女性の化粧を落とした顔を見ないという約束やったんか〜!!!)

 私は、ハトが豆鉄砲、いや豆大砲くらったような衝撃に見舞われました。私はもうその場から動くことも出来ず、トラブルを起こしたパソコンのように、完全にフリーズしてしまいました。また、喫茶店の店内には、まるでドライアイスを焚いているような、冷たい空気が流れてくるような錯覚さえ覚えたのです。
(だけど、そんな理由で別れ話になるか??普通???)
私は、何とかフリーズ状態から立ち直り、そう思ったのですが、女性は、また一言、

「あんたに素顔見られてビックリしたわ・・・。」

と呟きました。私は、もうこの恐怖の修羅場から立ち去りたいという衝動にかられ、残ったミルクティーを私がグッと一飲みしたその瞬間、今まで、スティックシュガーつまようじを数えていたと思われるくらい沈黙していた男性が、衝撃の言葉を発したのです!!!


「俺の方が、お前の素顔見てビックリしたわ・・・。」


男性の最初で最後の反撃の言葉を聞いた私は、不覚にも、一飲みしたミルクティーが鼻から出てしまいました(爆)。
もう、その男性の言葉が可笑しくって、可笑しくって!!!
 私は口からはミルクティーを吐かないように、何とか口元をしっかり押さえ、笑いを堪えながらレジへと走りました。当然、もうそのカップルの顔を見ることは出来なかったです。だって、真剣に話す二人の会話に吹き出してしまった私は、絶対カップルから睨まれていると思いましたから(笑)。
私は喫茶店の前に止めた自転車に飛び乗り、家路に着きました。
しかし、あのカップル、今頃、どうしているのかなあ・・・。
とにかく、二人とも仲良く、ケンカせず、お幸せに(爆)。
平成13年10月6日(土)<晴> 「カレー屋結婚相談所」
 3連休初日のこの日の朝、前日「幕末会津藩」のチャットを夜中の3時半までしていたせいか、私は完全な爆睡状態に陥っていました。なのに、朝の9時過ぎ頃、弟が私の部屋に入って来るなり大声で、
「高校野球見に行かへん?」
というではありませんか。この弟の言葉を「時期外れやろ!」と思われた方も多いとは思うんですが、弟が見に行こうと言ったのは、「高校野球秋季大阪大会」のことなのです。
 高校野球に詳しい方はご存知だと思うんですが、この高校野球秋季大会というのは、高校球児にとって、夏の地区予選大会に次いで非常に重要な大会なんです。なぜなら、この秋季大会の結果を元に、来年の春に甲子園で行われる「センバツ高校野球」の出場権が決まからです。
 実は、私達兄弟は、ものすごく高校野球が好きなのです。私の弟は、高校時代野球部でしたし、私は野球部ではありませんでしたが、昔から野球好きで、現在も草野球のチームに入ってますし、何よりも高校野球が好きでした。また、細かい話になりますが、私達兄弟は、甲子園の全国大会よりも、大阪地区の予選大会の方が好きなんですよね。地元なので、どの高校が甲子園に行くのか、毎年楽しみにしているのです。
 少し前置きが長くなりましたが(笑)、この日、大阪吹田市の万博記念野球場で、その高校野球秋季大阪大会の準々決勝の内2試合が行われる予定だったのです。弟は万博球場まで電車で行くのが面倒臭いと思ったのでしょう、楽をしようと思って、車を所有する私を誘ったのです。私はかなり睡眠不足でしたが、好きな高校野球だったので、弟の誘いに乗り、午前10時に車で万博球場へ。試合の組み合わせですが、第1試合が「大体大浪商 対 汎愛」、第2試合が「近大附属 対 柏原」という、半分は大阪人しか分からないような組み合わせだったので、試合内容は割愛しますね(笑)。(結果、浪商と柏原が勝ちました。)
 第2試合が思ったより長い試合になったせいか、私達二人が球場を出たのが、もう午後3時50分でした。昼はコンビニでスパゲッティを買って球場で食べてはいたのですが、それ以来何も口にしていなかったので、かなりお腹が減っていました。なので、「ラーメンでも食べて帰ろうか。」と弟に言うと、弟が「和歌山ラーメンの新しい店が出来てるで。」と言うではありませんか。私はラーメンには目がないので、そこに行く事を即座に決定し、向かうことにしました。しかし、弟は用事があるらしく、弟にラーメン屋の場所を聞いた後、途中で弟を降ろし、そのラーメン屋に向かったのですが・・・。その店は既に潰れていたんです(泣)。目的のラーメン屋が潰れていたので、私は途方に暮れて、ある道を車で運転していたのですが、私の目に、突如ある1軒の店が飛び込んできたのです。
 それは、1軒のカレー屋さんでした。そのカレー屋は、なかなか良い雰囲気の店構えで、外目で見る限り、おいしそうな店っぽいニオイがプンプンしているではありませんか。私はこの道を車で何十回も通った事があったのですが、そのカレー屋の存在をこの時初めて知ったのです。初めて見つけた店って、「もしかして、隠れた穴場?」なんて思ったりして、めっちゃ入りたくなると思いませんか?(笑)私はそのカレー屋を見つけると、ラーメンを食べることはすぐに諦めて、そのカレー屋さんの前に車を止めました。車を降りて見ると、おいしそうなカレーの匂いが辺りに漂っているではありませんか!私は、
「ここは絶対に当たりに違いない!」
と確信し、店の中に入りました。しかし、私は、そのカレー屋で、おいしいカレーを味わうどころか、想像を絶する経験を味わうことになったのです・・・。

 店の中に入ると、客はおばちゃんが3人のみでした。しかし、よく見ると、そのおばちゃん連中はデカイ声でベチャクチャ話しているだけで、カレーらしきものを何も食べていないのです。私はその光景を見て、(そうか〜・・・、カレーも注文しない近所のおばちゃん連中の溜まり場か・・・。)と即座に思いました。
(えらい店に入ってしもたな・・・。)
私は後悔しましたが、もう店に入ってしまっているので、「やっぱり止めときます。」なんてなかなか言えないでしょ。なので、仕方なく席に座ってカレーを1つ注文しました。
(早よカレー食べて店を出よう・・・。)
と私は思っていたのですが、そんな私の思いもそっちのけで、おばちゃん3人衆はデカイ声でしゃべりまくってます。その3人の中でも、ドリフターズのコントで、高木ブーが雷様に扮した姿にそっくりなおばちゃんが一人居て(笑)、その人が一番デカイ声を出して、独壇場となっているではありませんか。元より、私もおばちゃんの話に興味はありませんでしたが、声がデカイので、どうしても話の内容が聞こえてしまうのです。そのおばちゃんの話の内容を簡単にまとめると、次のような内容でした。

@高木ブーの雷様似のおばちゃんは、ある一人の全然イケてない30代後半の男性にお見合いを世話した。
Aその高木ブーの雷様似のおばちゃんは、「20代のエレクトローンの先生」と「20代の学校の先生」の二人の女性を男性に世話したが、その男性はお見合いを断った。
B高木ブーの雷様似のおばちゃんは、その男性がお見合いを断ったことに憤り、「ブサイクなクセして贅沢や!」と男性に対してブチ切れている。

 文章に書けばこんな簡単な事なんですが、その高木ブーの雷様似のおばちゃんは、身振り手振りを交えながら、他の2人のおばちゃんに熱心に話しているのです。
(フゥー(ため息)・・・、この店は失敗やった。早くカレー来ないかなあ・・・。)
私は早く店を出たかったので、カレーが出てくるのを今か今かと待っていました。そして、待つ事3分。ようやくカレーが私の目の前に。
(さあ、早く食べて出よう!)
私は一目散にカレーを食べ始めました。私がカレーを食べている間も、高木ブーの雷様似のおばちゃんの話は止まりません。
 それが・・・です。私がカレーを半分くらい食べ終わった時、一瞬、店内がシーンと静まり返ったのです。私は、「何があったんや?」と思い、何気なくおばちゃん連中の方に目を向けると、何と!!、高木ブーの雷様似のおばちゃんが私の方をジッと凝視しているではありませんか!!!私はそのおばちゃんの視線にめちゃめちゃ動揺し、蛇に睨まれたカエルのように、まったく動くことが出来なくなりました(笑)。
そして、そんな私が石のように固まっている状態に、その高木ブーの雷様似のおばちゃんが、私に向かって一言デカイ声で言いました。

「兄ちゃんなら、エレクトローンの先生と学校の先生、どっちを選ぶ?」

(はあ〜????????????????)
私は思いもかけないおばちゃんの質問に唖然としました。しかし、なおも高木ブーの雷様似のおばちゃんは、私に対し「どっちを選ぶ?」と聞いてきます。
私はカレーを口に運ぶことも出来ず、ただ気が動転するばかりでした。しかしながら、そのおばちゃんは、私の答えを確実に待っているのです。私は、(ヤバイ事に巻き込まれてしまった・・・)という恐怖感が全身を覆い尽くしましたが、何とかこの場を乗り切ろうと思い、

「えっ・・・、や・・・っぱり、エレクトローンの先生ですかねぇ・・・。」

と私が答えると、高木ブーの雷様似のおばちゃん(←もう、ええちゅうねん!)は、満面の笑みになって、

「そやろ、そやろ!!!」

と、またまたデカイ声で言ってきます。私はおばちゃんの機嫌を損なわなかったことに、ホッと胸を撫で下ろしましたが、
(これは早くカレーを食べ終えなあかん。)
と思い、カレーを一口、口に入れようとしたのですが、そのおばちゃんは、それを遮るように、

「そやねん。エレクトローンの先生の方が美人やし、気立てもいいねん。それをあのおっさんは断りやがって!!(怒)」(注・おっさんとは、お見合いを世話された男性の事を指します)

と、お見合いを世話した男性のバッシングを繰り返し、あろうことか、私の席の隣に来て、
「ほれ、兄ちゃん、見てみ!!」
と、そのエレクトローンの先生のお見合い写真を見せてくるのです。そしてまた、そのおばちゃんは私に向かって、

「あのおっさん、このエレクトローンの先生、料理が出来んからイヤやみたいなことぬかしとんねん。どう思う兄ちゃん?」

と問いかけてくるのです。私は、当たり障りないように、
「はあ・・・、そうですか。」
と答えたのですが、そのおばちゃんは次に、

「兄ちゃんは、料理の出来る女の子の方がエエか?」

と聞いてくるではありませんか!
私は、(もう、勘弁してくれよ・・・)とは思いながらも、そんなイヤな顔をしたら、どんな強烈トークが次に飛んでくるかコワイじゃないですか。なので、私は、
「僕は別に料理は出来なくてもいいと思いますけど・・・。」
と言うと、おばちゃんはまたまた満面の笑みになって、
「そやろ、そやろ!!!」
とうなづき、また、再びお見合いを世話した男性のバッシングを始め、

「あのおっさん、自分の顔を鏡で見ろちゅうねん。そんな贅沢言える立場と思ってんのか。なあ、兄ちゃん?」

と言ってくるではありませんか。私は、
(見合いを世話された男の姿を見たこともなければ、聞いたこともないのに、どう返答せぇちゅうねん。)
と思いましたが、またまた当たり障りなく、「そうですね。」と相槌を打つと、次にそのおばちゃんは、私に爆弾発言を投げかけてきたのです。

「兄ちゃん、どや?この娘さんと見合いしてみるか?」

(ドヒャー!!!!!何言うてんねん??このおばはんは!!!!!)

私は背筋に冷たい汗が流れ始めました。だいたい、今日初めて会った見も知らないおばはんに、何で見合いさせられなあかんのですか?また、そんな事言ってくるおばはんもおばはんですが・・・。しかし、そのおばちゃんのメガトン級トークは止まりません。

「兄ちゃん、ええ感じの男やから、この子とお似合いやわ。エレクトローンの先生やから、エエで〜(笑)。」

(何がエエねん?よう分からんわ!)
と、内心では思いながらも、何とかこの恐ろしい場を逃れようと思い、必死で、
「いやあ〜、すいませんが・・・、遠慮しときますわ。」
と何度も何度も言ったのですが、そのおばちゃんは、私に対し、こう言い放ったのです。

「カレーが取り持った縁やないの。おばちゃんの話に乗ってみいへんか?」

(カレーが取り持った持った縁????)
(そう言うけど、おばはん、一口もカレー食ってないやんけ!!!!)

私は思わず汚い言葉が口から出かけましたが、何とか丁寧に「もう、すいません。勘弁して下さい。」と言うと、そのおばちゃんは、

「まあ、残念やけど、そんなに断るんやったら、しょうがないわな・・・。だけど、また気が変わったら、いつでも言って来いや!おばちゃん、このカレー屋にだいたいおるから。あの奥さん(←カレー屋の奥さん)に言ってくれたら、おばちゃんにいつでも会えるから。」

と高木ブーの雷様似のおばちゃんは何とか引き下がってくれ、私もここぞとばかりに「はい、分かりました。」と満面のウソ笑顔でうなづき、必死で残りのカレーを食べ終わった私は、ようやく店の外へ。
(とんでもない店やった・・・)
家に車で帰る途中、私は、二度とあのカレー屋には行かないことを堅く心に誓ったのでした。
平成13年9月17日(月)<晴> 「涙の丑三つ時」
 突然ですが、私は非常に涙もろい男なんです。感動モノの映画とかドラマとかに異常なほど弱いんです。その昔、映画館である映画の予告編だけで涙が出てしまって、友達からひんしゅくを買った記憶もあるくらいなので(汗)。あと、感動のアニメにも弱いです。何年か前、『あらいぐまラスカル』が地元のテレビ局で再放送されていたので、なつかしさの余り見ていたんですが、最終回は、ほんと涙が止まりませんでした(号泣状態)。涙腺が弱いというよりも、切れているのかもしれませんね(笑)。
 17日(月)の午後6時30分頃、仕事の帰りに大阪梅田にあるTSUTAYAにビデオを返しに行きました。そして、そのついでに、あの有名な宮崎駿さんが演出等を手掛けた昔のアニメ『未来少年コナン』を借りて帰りました。(あのデッカイ眼鏡をかけて、イスの後ろに隠れて蝶ネクタイを使ってしゃべる『名探偵コナン』ではありませんよ!・笑)何で『未来少年コナン』を借りたかというと、3週間くらい前の新聞に、未来少年コナンのDVD発売の全面広告が掲載されていたんです。それを見た時、「あ〜、懐かしいなあ」と思ったんですね。昔、子供の頃に再放送だったか何かよく覚えていないんですけど、たまにテレビで見てたんです。(ストーリーはまったく記憶に残っていないんですが・・・。)それで、広告を見て急に懐かしくなって、一度借りて見てみようかなあと思った訳です。なので、私は決してアニメオタクではありませんよ(笑)。「未来少年コナン」のビデオは全7巻あって、その内1〜3巻だけを借りて帰りました。1巻あたりに、約30分の話が4話収録されていたので、あんまり多く借り過ぎると返却期限までに全部見れないと思って、一応3つだけにしたんです。
 そして、その日の夜。10時から『スマップ×スマップ』の特別編を見終わった私は、引き続き11時から始まった『あいのり』を、いつものように「そりゃないで〜」と独りでテレビに向かってぶつくさ言いながら見た後、さあ次に何の番組を見ようかと思った時、『未来少年コナン』のビデオを借りていたのを思い出しました。この時間帯に他に見る番組もなかったので、30分アニメだから1〜2話くらい見て寝ようか、と思って『コナン』を見始めたんですが、これが非常に面白いんです。『コナン』を知らない方のために少しストーリーを簡単に説明すると、主人公はその名の通り「コナン」という少年で、ヒロインは「ラナ」という少女です。物語の舞台は、人間が作り出した超磁力兵器のため、世界の半分が消滅し、人類がほぼ滅亡したという地球が舞台となっています。物語の始まりはそこから約20年くらい経った後という設定の話なんですが、その超磁力兵器が世界の半分を消滅させたのが、西暦2008年7月という設定なのです。それを見た時、思わず「もうすぐやんけ!」と独りでテレビに向かって突っ込んでしまいました(笑)。その荒廃した世界を舞台に、コナンがラナを守るために奮闘する冒険アニメといった感じなんです。(宮崎アニメなら、「天空の城ラピュタ」とよく似た設定ですね。)
 最初は、1,2話だけ見て寝ようと思っていたのですが、見ているうちにだんだん面白くなってきて、止まらなくなってしまいました。何と言うか、このアニメ、コナンとラナの仲睦まじい友情というか、コナンがラナのために懸命に頑張る姿というのがすごく胸を打つんですよね。また、出てくる登場人物も個性的なので、ストーリー展開も面白いのです。『コナン』が思った以上に面白かったので、11時30分過ぎにビデオを見始めてから、どんどんエスカレートしてしまって、気付いたら時計がもう午前2時10分になっていました。当然、明日も仕事があるので、これ以上起きていては明日グロッキー状態になりかねないと思ったので、2本目の最後、第8話だけを見てから寝ようと考えたのですが、その第8話にものすごい落とし穴がありました・・・。
 第8話には、コナンとラナがボートに乗って海上を逃げるシーンがあるんですが、そのボートが悪者(←簡単な言い方・笑)に爆破されてしまうんですね。しかし、二人は何とか脱出し、海中に逃れるんですが、そこでハプニングが!コナンは、そのボートに乗る前は捕われの身でしたので、手には分厚い手錠がかけられていたんです。コナンはその手錠をしたたままラナと逃亡したのですが、ボートが爆破された際、コナンの手錠が爆破された船の残骸にひっかかり、残骸と共に海底に沈んでしまうんです。コナンは必死にその残骸から手を引き抜こうと試み、ラナも水中に潜りながらそれを助けるんですが、手錠が外れなくてうまくいかないんです。当然、このままではコナンが溺れ死んでしまうじゃないですか!そして、ここで、すごいシーンが!!!
 ラナはコナンの手錠が外れないと見るや、水中で苦しむコナンのために海面に出て大きく息を吸い、そして水中に潜って苦しむコナンに空気を運び続けるのです。当然、水中では口移しで空気をコナンに移すんですね。このシーンがめちゃいいんですよね。もう感動の嵐、嵐。私はこのラナの優しさ溢れるシーンに完全に参ってしまいました。時刻は午前2時30分、丑三つ時。私は不覚にもそのシーンを見て、突然涙がボロボロと零れ落ちてしまったんです。

「何ちゅう、いいシーンなんや・・・。」

30代独身男の寂しさのせいか、私の目にはじんわり涙が滲み、その後大粒の涙に。丑三つ時に、独りでアニメを見ながら涙するという行為は、少しアブナイ人間(笑)のように思われてしまいますが、それくらいこのシーンはいいんですよね〜。そのせいで、2本目でビデオを終わる予定が、結局3本とも見てしまうことに。おかげで、ビデオを見終わったのが、午前4時30分。その後、1時間だけ眠って、仕事に行かざるを得ないはめに。おかげでその日は恐ろしいほどの睡魔に苦しめられ、夜中に泣いたためか、目は充血してまぶたが開かず、まつ毛に分銅をのせられた拷問のような一日でした。
 その日、知り合いには、目が余りにも充血していたためか、「目ばちこ出来たの?」と聞かれる始末。
 だけど、『未来少年コナン』、オススメのアニメですよ〜。是非一度、レンタルビデオで借りてきてみてはいかがですか。
平成13年9月16日(日)<曇時々雨> 「幕末福井バスツアー」
 この日の日曜、よみうり神戸文化センター主催の「福井・松平春嶽の史跡を訪ねる」というバスツアーに参加してきました。参加メンバーは、私と「幕末会津藩」のサイトを管理されている空子さん、そして名古屋の大学に通われているちゑさんの3人でした。私は、サイトを通じて知り合った方と会うのは初体験でしたので、前の晩から少しドキドキ状態でした。「どんな人が来るのかなあ・・・」なんて思っていました。(だけど、これはお互いそうだったでしょうね・笑)
 さてさて、そんな緊張状態の中、夜が明けてツアー当日。
 出発準備も万端に整い、私は最後に、前日に買ったお菓子を入れたスーパーの袋の中に、前の晩から冷蔵庫で冷やしておいたジュースを入れようと思い、冷蔵庫を開けました。実は、バスの中で3人でジュースを飲もうと思って、前の日に近所のスーパーに行って、多量のお菓子と1.5リットルのバヤリースのオレンジジュース、紙コップを買っていたのです。ジュースは昨日の夕方から冷やしていましたから、キンキンに冷えてるやろな、なんて私は笑顔で冷蔵庫を開けたのです。
 しかし・・・、なんと!!、私が冷やしておいたオレンジジュースが半分飲まれているではありませんか!前日の晩から、うちの母親には、「あれは明日持って行くやつやから、飲まんといてな!」と釘を刺していたのに、その我が愛するオレンジジュースが誰かに飲まれていたのです。
「誰じゃ〜!!、俺のジュース飲んだ奴は!!」
というような荒っぽい口調ではありませんでしたが、それに似た言葉を吐くと、私の母親は、「えっ、私は飲んでないよ。」の一言。そのため、私の疑いは、ある一人の人物に絞られました。私は疑いの目でその人物を睨みつけると、私の父親が一言。

「ノド乾いたから飲んだんや。」

と恐ろしい言葉を吐くではありませんか!その言葉に私の頭の中のピアノ線がプチッと音を鳴らして切れました。

「『ノドが乾いたらジュース飲む』なんちゅうことは、そんなもん町歩いてる子供でも、犬でも分かってるわ!何で今日持っていく用に買った俺のジュース飲んだんかを聞いてんねん!」

と、今から考えれば子供のケンカのような口調で言ったのですが、その犯人は、あろうことかその後黙秘権を続けて、一言の謝罪の言葉もないのです。私は、神戸でわざわざ買ってきたプリンを風呂に入っている間に弟に無断で食べられた時以来のはらわたが煮え繰り返るような気持ちになりました。(←今でもその恨みは覚えています・笑)
 しかし、そんな問答を繰り広げている間にも、バスの出発時間が刻一刻と近づいていたのです。バスの集合は、大阪梅田に8時20分集合なのに、腕時計を見ると、時刻は7時45分になっていたのです。家から梅田までは約30分かかりますので、これ以上ジュースの事でもめてる訳にはいきません。私は、すぐその足で、近所のコンビニへ走りました。そして、同じオレンジジュースの「なっちゃん」を買い、取って返して家に戻り、地下鉄の駅に向かったのです。
(あ〜、やばいな間に合うかな・・・)
私は待ち合わせ時間にはいつも余裕を持っていくタイプなのに、親父の黙秘権の行使で、かなりの時間のロスを取ってしまったのです。しかし、私は地下鉄の乗り換えもダッシュし、何とか8時15分に集合場所に辿りつきました。しかし、地図上に示された場所には、バスが止まっていません。
(あれ?・・・、ここやと思うんやけど・・・)
私はその周囲を何回もまわって探しましたが、バスらしき姿がありません。そして、時刻は8時20分を過ぎてしまいました。
(やっ・・・べぇ。遅刻や!)
私はめちゃめちゃ焦りました。そのため、ツアーの案内状に書かれていたツアーコンダクターの電話番号に電話して場所を確認することに。ツアコンの人は、丁寧に場所を説明してくれたのですが、一向にバスが見当たりません。ツアコンの人は、

「淡路交通の青いバスが見えませんか?」

というので、キョロキョロと辺りを見まわして確認すると、一台の青いバスが見えるではありませんか!

「あっ、見えました!今からすぐに行きますので!」

私はそう言って携帯電話を切ると、バスに向かって猛ダッシュをかけました。
(あ〜、ようやく間に合ったわ)
と安堵したその瞬間、その目指す青いバスが「ブロロロロン」と音を立てて走り出すではありませんか!
「おお・・・おい、ちょっと待ってくれ〜」
と私は梅田の外れで叫びましたが、バスはそんな私の言葉を聞くこともなく、走り出して行きます。

(終わった・・・、俺のツアーはここで。一緒に行く予定だった空子さんやちゑさんに何と詫びればいいのか・・・。フゥー・・・、この多量のお菓子とジュースどうしよう・・・)

大きな脱力感が私の体中を襲いました。しかし、よくその青いバスをよく見てみると、「神姫バス」と書かれているではありませんか!「あっ、あれは違うバスや!」と私は我に返り、もう一度来た道を戻って見ると、一台の青い「淡路交通バス」が道端に止まっているではありませんか。私はまたもダッシュしました。そして、何とか無事にバスに乗ることが出来たのです。
(間に合った・・・。良かった。)
私はフッと一息ついてから、バスに乗り込むと、席に座っているのはご年配の方ばかり。なので、空子さんとちゑさんを探すため、キョロキョロと辺りを見まわしてみると、一人の若い女性が手を振ってくれているではありませんか。私は瞬時に「空子さんだ!」と確認し、その席へ。そして、その空子さんが私に向かって言った第一声は、

「普通の人じゃないですか!」

でした(爆笑)。一体空子さんは私にどういうイメージを感じていたのでしょうか(笑)。
 そして、空子さんはと言うと、非常に綺麗な女性で、私も少し舞い上がりました。何度も言いますが、私は非常に美人に弱いんです(笑)。私は、また、「さしすせそ」が「たちつてと」にならないよう、細心の注意を払いましたから(笑)。そして、遅れてちゑさんが到着。ちゑさんはわざわざ始発の新幹線で名古屋から大阪に来られて、このツアーに参加されたんです。すごいでしょ!そして、ちゑさんは、「学生さん」らしい非常に可愛い女性でした。空子さんが「キレイ系」なら、ちゑさんは「カワイイ系」ですね。また、お二人とも、話して見ると非常に感じの良い方でしたので、「この旅は良い旅になるな」と直感的に思いました。
 その後、3人は、私が急遽コンビニで買ってきたジュースで乾杯し、バスは一路福井に向けて出発したのでした。(おわり)

えっ?史跡巡りの話はですって?それは、今回ナシです(笑)。
平成13年8月30日(木)<雨> 「間違いだらけの観光バス」(鹿児島旅行編最終回)
 今日は、朝から雨。今まで何度も鹿児島を訪れていますが、本格的に雨になったのは初めてです。しかし、旅先の雨はほんと嫌ですよね。私は、この日、ほんとうなら大隈半島の小根占(こねじめ)という場所に行く予定だったのですが、雨が強くなるとの予報のため、急遽断念せざるを得ませんでした。予定が狂ってしまったので、どうしようかと迷ったのですが、取りあえず、昨日が休館日で入館出来なかった「石橋記念館」に行く事にしました。この日記は、今まで全然歴史のことに触れないドタバタ日記でしたが(←自分で言うな!)、気分転換に少しだけ歴史について書きますね。(←気分転換かよ!<さまぁ〜ず・三村風>)
 かっての鹿児島には、市内の中心を流れる甲突川(こうつきがわ)に、薩摩藩が肥後から招聘した石工の岩永三五郎(いわながさんごろう)が、江戸時代の弘化、嘉永年間に築き上げた、玉江橋(たまえ)、新上橋(しんかん)、西田橋(にしだ)、高麗橋(こうらい)、武之橋(たけの)という五つの大きなアーチ型の石橋が架かっていました。(アーチ型の石橋とは、簡単に言うと、長崎にある眼鏡橋を思い出して頂けたらと思います。)これらは、鹿児島の五大石橋と呼ばれ、創建以来150年もの長き間、現役の橋として利用されていたのですが、平成5年8月6日に鹿児島地方を襲った集中豪雨による洪水のため、五大石橋のうち武之橋と新上橋が破壊されて流失してしまったのです。そのため、残り三つの橋の保存問題が起こり、結局、市内の祇園之洲公園(ぎおんのすこうえん)に移設・復元されることになりました。石橋記念館は、その復元された石橋に隣接して建設された五大石橋についての資料展示館です。しかし、古の技術力には、ほんと頭が下がりますね。後年に補修されたとは言え、その上を自動車が通ってもびくともしない頑丈な橋を江戸時代に作っていたのですから。
 さて、石橋記念館を見終えて、西駅に帰ってきた私は、取りあえず「鹿児島シティービュー」という鹿児島市内の観光地を周遊するバスの一日乗車券を購入しました。このバス券は、一日600円で市バス・市電が共に乗り放題になりますので、非常に便利なのです。私が観光案内所でその券を買っていると、ちょうど鹿児島シティービューバスがバス停に入ってきました。私は、「雨だから、久しぶりにバスで鹿児島の町を1周しようかなあ。」と思い立ち、バスに乗り込むことにしました。乗客は私を含めて7人。私はバスの一番後ろの席に座ると、前に小学生くらいの男の子と女の子を連れた4人家族が座っていました。二人の子供は久しぶりの旅行なのか、大はしゃぎで父親に向かって言いました。
(子供達)「お父さん、お父さん、今からどこに行くの?」
(お父さん)「今からね、このバスで鹿児島の町をまわるんだよ。ほら、窓から外を見て!」
(夏休み最後の家族旅行か・・・)
私はその微笑ましい親子の光景に、何か心温まるような感じを受けたのですが、その私の感情は、数分の後にガラッと変わってしまうことになるなど、この時の私は予想もしていなかったのです。
 午前11時00分。いよいよ、バスの出発です。バスはまず「維新ふるさと館」という歴史観光施設に向かい、次に「ザビエル公園前」という、鹿児島に上陸してキリスト教の布教活動を勤めた「フランシスコ=ザビエルの記念公園前」に停車しました。すると、前の子供連れのお父さんが、公園内に建てられているザビエルの銅像を窓越しに指差し、子供達に向かって恐ろしい言葉を吐いたのです。

「ほら、マーくん、ミーちゃん、見てごらん。あの人が日本にキリスト教と鉄砲を伝えたすごい人なんだよ。」

(??????)
(えっ?・・・・、お・・・親父さん、それはちゃいまっせ。ザビエルはキリスト教を伝えたけど、鉄砲は別もんやで。確かに、学校の歴史の教科書には、二つとも近いページに書かれてあるけど・・・。)

私は、その親父さんが得意満面で自分の息子達に説明している光景を見て、思いっきり動揺しました。だって、この鹿児島シティビューバスには、車内放送で史跡の説明もしてるんですよ!

(う〜ん・・・、だけど、ここでわざわざ俺が「それは間違いですよ!」なんて口を挟むのも興醒めやしなあ。家族4人で楽しんで旅行してるのに。まあ、歴史の勘違いって、誰にでもあるからな・・・。)

当然、部外者である私は、楽しく旅行している家族の邪魔をするのもヤボだと思ったのです。しかし、そんな私の心優しき配慮(←自分で言うな!)を無視するかのように、その親父さんの暴走は、その後も止まりませんでした。
 バスが「ザビエル公園前」を通りすぎ、いよいよ鹿児島の観光シンボル「西郷隆盛銅像前」に差し掛かった時、その親父さんは、西郷さんの銅像を見て、またまた子供達に向かって恐ろしい言葉を吐いたのです。

「あれっ?おかしいね。西郷さんの横に犬がいないなあ・・・。いつもは犬がいるんだけど、改修でもしてるのかなあ。」

(????????)
(おい!おい!おい! 親父さん、鹿児島の西郷さんの銅像は、初めから犬なんか連れてませんで!それは、東京の上野公園の西郷さん!)

私は、その親父さんの間違った説明に、またも口を挟みたい衝動にかられましたが、その親子4人、ほんとうに笑顔だけは素晴らしくて、心底旅を楽しんでいる様子なのです。なので、一人の浪速人の汚い大阪弁が、その親子の楽しい旅の一時をぶち壊すことになりかねないという恐怖で、私は声を出せませんでした。

(そ・・・そうやな、鹿児島の西郷さんの銅像が犬を連れてるって思っている人もおるわな。親父さんが間違えるのも仕方ないか・・・。)

私は懸命に自分自身にそう言い聞かせました。家族4人で楽しく旅をしているところに、チャチャをいれるのは、ほんとうに勇気がいることなんです。そして、バスは、鹿児島城(別名・鶴丸城)の前を通りすぎ、西南戦争で薩摩軍が最後に立てこもった城山へ。この城山には、薩摩軍の司令部が置かれた洞窟(西郷洞窟)もあり、観光スポットになっています。そして、バスがその「西郷洞窟の前」を通ると、マーくんの方が、

(マーくん)「お父さん、あそこに穴があるけど、あれ何?何?」
と、言ったので、私はドキドキしながら、親父さんの答えを待ちました。

(また、間違ったこと言うのと違うやろな。「あの洞窟に西郷さんが住んでたのよ。」みたいなこと言わんといてや。頼みまっせ、親父さん。)

私は祈る思いで、親父さんの答えを待ったのですが、その親父さんの答えは意外なものだったのです。

「あ〜、ほんとやね。あの洞窟、何の洞窟かなあ?・・・。」

(??????????)
(ガ・・・ガクッ。知らんのかいな!)
(ホンマ、拍子抜けしたわ!この流れやったら、間違ったこと言ってくれな話にならんやないか!もう、毎回、違う意味で驚かしてくれるな。)

親父さんが間違えた事をいうのを、私は内心期待していたのかもしれません(苦笑)。
 さて、バスは、その後、仙巌園(せんがんえん、別名・磯庭園)へ。ここは、島津氏の別邸と庭園が残っており、鹿児島随一の観光スポットなのです。親父さんは、西郷洞窟を子供達に説明出来なかったのが悔しかったのか、仙巌園前にバスが停車すると、復活したように恐ろしい話を始めます。

「マーくん、ミーちゃん、ここはね、お侍さんのお城があった場所なんだよ。」

(????????????)
(お城って?、ここは別邸やで。別荘みたいなもの!もう〜、親父さん、さっきバスがお城の前を通ったでしょ!ほらさっき、親父さん、「ハスの花が綺麗だね」って言ってたやんか。<注・鹿児島城の堀には、綺麗なハスの花が咲いているのです。>)

私の期待は今度は裏切られなかったのですが、その反面、間違った歴史ばかりを子供達に教えるその親父さんに対し、私も少々疲れてしまいました。
(これは、正しい事は一つも言いそうにないな・・・)
私は半ば「諦めモード」に入っていました。
しかし、奇跡が起こったのです!
バスが復路になり、石橋記念館がある祇園之洲公園を通り、「かごしま水族館前」に停車すると、親父さんが、水族館の建物を指差し、次のように言ったのです。

「マーくん、ミーちゃん、ほら、あそこにお魚さんが一杯いるんだよ。」

(!!!!!!!!!!!!!!!)
(何!〜〜〜〜、やれば出来るやないの〜、親父さん!(感激)。ホンマ見直したわ〜。その能力を早く発揮せんかいな!ホンマにもう〜。)

今から考えれば、水族館に魚がいることは当たり前のことなのですが(笑)、私はその当たり前のことに、ものすごく感動を覚えたのです。私の感覚は一種麻痺していたのかもしれません(笑)。そして、その4人家族は、その後昼飯を食べるために「天文館」で下車しましたが、私は笑顔でバスを降りる家族の姿を見た時、
(歴史を知ってようが、知ってまいが、旅行は楽しいのが一番やからな。口挟まんで良かった。)
と何かしらホッとした気持ちになれたのでした。
平成13年8月29日(水)<晴>(鹿児島旅行編3)
「チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、サマーパーティー。チュッ、チュッ、期待しちゃうわ〜。チュッ!」
 今回の鹿児島旅行は、一人旅でした。一人旅をされたことのある方は経験があると思うんですが、一人旅は何かと困ることが多いんですよね。例えば、ホテルに入っても話す相手もいなくて暇ですし、夕飯も一人さみしく食べないといけないですし、「荷物見といてな!」とか言って、荷物を下ろしてトイレにも行けませんしね(笑)。私は結構一人旅をしますが、ほんと、一人で食べる夕飯ほど、さみしく悲しいものはありません。また、一人旅はやたら独り言が多くなると思いませんか?この旅でも、私なんかは結構ブツブツ言いながら自転車に乗ってました(笑)。そして、一人旅で一番困るのが「写真」です。綺麗な景色をバックに写真に入りたいなとか、この史跡の前で撮りたいな、なんて思っても、一人ではカメラのシャッターを押せませんもんね。かと言って、三脚を持ち運んでまで旅するほどの本格派でもありませんから、写真についてはいつも困るのです。特に、余り知られていない史跡なんかは、人通りも少ないですから、カメラを頼む人が来なくて、いつも苦労しています。また、シャッターを押してもらう人の人選も結構重要ですよね。と言うのは、おじいちゃんやおばあちゃんのような年配の方にシャッター押してもらうのも、違う意味で非常に勇気がいります(笑)。現像したら、足だけしか写っていなかった、なんていう写真が数多くありますから(泣)。なので、私の場合は、出来るだけ若い人が来るのを待って、カメラのシャッターを押すのを頼んだりしています。
 さてさて、おいしい黒豚のトンカツを食べ終えた私は、エネルギー満タン、気力充実で史跡巡りを再開。まず、私が目指したのは、「西郷南洲翁終焉之地」という石碑がある場所です。ここはその名の通り、西南戦争で西郷隆盛が亡くなった場所なのです。私は自転車をこぐ足も軽やかに、「終焉之地」に到着しました。さて、ここで石碑を写真に撮った後、「俺も久しぶりに写真に入ろうかなあ。」なんて思い、カメラのシャッターを押してくれる人が来るのを待ちました。しかし、この場所はなかなか人が通らないのです。
 そして待つこと5分。向こうから男女二人組の茶髪の若いカップルが歩いてくるではありませんか。そのカップルは、手には観光案内図を持っていたので、まぎれも無く観光客そのものです。そうそう、余談ですが、昨年の夏、実は私も茶髪だったんです。少し髪の毛を伸ばしていた時期があって、家でブリーチしたのです。だけど、私の茶髪姿は、周りからは賛否両論だったんですよね。割と男連中からは「おっ、似合ってるやんか。」とか「綺麗な茶色でかっこええやんか。」などと言われていたのですが、女性陣からは、「何か遊び人みたいに見えるよ!」とか「ツブちゃん、軽い人間みたい。」なんて言われ、中には「昔のサーファーみたい。」(←昔のがミソです)なんていう、胸を太い矢で撃ち抜くような手痛い批判を受けましたので、6ヶ月かかって自然に黒に戻し、髪の毛も切りました。なので、今は真っ黒の髪の毛です。おっと話が脱線しましたが、その若いカップルに、私はシャッターを押してもらおうと思い、そのカップルに向かって、

「すいません。シャッター押して頂けませんか?」

と満面の笑みで話しかけました。(←私はカメラをお願いする時は、満面の笑みで頼むことにしています・笑)
そんな私の言葉に、若い男性の方が、「いいですよ!」と快い返事をしてくれました。そして、私は石碑の前に立ち、1枚写真を撮ってもらいました。すると、女性の方がツカツカとやって来て、男性に言いました。

(女性)「ねえ、アックン、私達も撮ってもらおうよ!」
(男性)「あっ、そうやね。すいません、お願い出来ますか?」

アックンという呼ばれ方はさて置き、なかなか礼儀正しい青年ではないですか。私も快く「ええ、いいですよ!」と返事すると、アックンからカメラを受け取り、二人の前に立ちました。カップルは、付き合って間も無いアツアツカップルなのでしょう、二人腕を組んで碑の前に立ちました。私は、そんな光景を見ながら、
(天上の西郷さんもビックリしてるやろな。こんな場所でカップルに腕組まれて。)
なんて心の中で少し笑いながら思いました。そして、私はお決まりの
「ハイ、チーズ!」
と声を出し、シャッターを押そうとした瞬間、何と!女性がアックンの頬に、

「チュッ。」

キスしたのです!!!!
私は、シャッターを押しましたが、その目の前に繰り広げられた光景に、唖然となりました。しかし、カップルはその私の唖然ぶりをまったく気にせず、

(アックン)「もう〜、ミエちゃん、恥ずかしいやろ。」
(ミエちゃん)「別に、いいやんか。旅行の記念やし。」

(記念やし?????)
(オーマイゴッド! 何ちゅうこっちゃ! 君達は、この場所がどんな場所なのか知ってるのか?この場所は、西郷さんが城山から降りてきて、政府軍の弾丸を受けて倒れ、傍らにいた別府晋介が「ごめんやったもんせ〜」と涙ながらに西郷さんの首をおとした所なんやで。それを「チュッ」って君ら・・・。)

と、本来ならこう思いそうなものですが、その光景を見た私は、不思議とそう思わなかったのです。

その光景を見た私の頭には、今年の夏に流行った、つんくプロデュースの「三人祭」の曲『チュッ!夏パ〜ティ』のサビの部分、

「チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、サマーパーティー。チュッ、チュッ、期待しちゃうわ〜。チュッ!」

が何度も頭に繰り返し流れたのです。

(うらやましい・・・)

私は不覚にもそう思ったのかもしれません。
その後、私はその場所を立ち去り、自転車をこぎながら、またも一人で口ずさんでしまいました。

「チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、チュッ、サマーパーティー。チュッ、チュッ、期待しちゃうわ〜。チュッ!」

(追伸・私は決して「三人祭」のファンではありません。)
平成13年8月29日(水)<晴>「ケガの功名?」(鹿児島旅行編2)
 今回の鹿児島旅行では、鹿児島市内のおいしい食べ物屋さんの情報を事前にインターネットで調べていました。鹿児島と言えば、まず一番に思いつくのが、黒豚ですよね〜。(←私は肉好きなので・笑)なので、インターネットで色々とトンカツ屋さんを検索していたのですが、ある鹿児島の食べ物屋を紹介するサイトに、「『丸○』(←名は伏せます)というトンカツ屋さんは、すごくおいしくて、私の大のお気に入りです。県外から来た人は必ずここに連れていくんですが、いつも満足して帰ってくれてます。」みたいなことが書かれていたんです。この店はガイドブックにも載っていない店だったので、「これは地元の穴場かも?」なんて私は思い、「よし、1日目の昼は、ここで黒豚のトンカツを食うぞ!!」と考えていたのです。
 さてさて、史跡巡りを初めて数時間、もう時計が午後1時を指していたので、かなりお腹が空いてきました。朝食は、「ビクトリー」というサンドイッチチェーン店で、「白身魚サンド」を買って食べていたのですが、それからまったく何も食べていなかったのです。(←朝から油もんをよう食べるなあ〜、なんていう声が聞こえてきそうですが・笑)しかし、お腹は空いていたのですが、昼飯を食べるかどうか少し迷いました。なぜなら、鹿児島滞在は2日間の予定でしたし、明日は鹿児島地方は「雨」の予報でしたので、今日の絶好の天気の内に、行ける史跡は周っておきたかったのです。
(昼食を抜くか否か・・・)
 私は、城山の裏手・城ヶ谷という場所にある五代友厚誕生地の碑の前で悩んでいたのですが、その時思い出したのが、あの鹿児島の食べ物屋を紹介するサイトに書かれたあったトンカツ屋さんです。
(あ〜、そうか、昼はトンカツを食べようと思ってたんや!サクサクとした衣に、ジワッ〜と滲み出る肉汁、そんなアツアツのトンカツをパクッと一口にほおばり、ご飯をかきこむ。なんて幸せの瞬間なんだ!)
 石碑の前で、そんな想像をしていた私の顔は、おそらく今にもヨダレが垂れそうなだらしない顔になっていたことでしょう(笑)。ただ、この城ヶ谷からそのトンカツ屋がある鹿児島最大の繁華街がある天文館(てんもんかん)近くの高見馬場(たかみばば)という場所まで行くには、来た道をかなり戻らなければならないのです。なので、ここから史跡巡りを続行するか、それとも一旦昼食を食べるために戻るか、ほんとうに迷ったのですが、その時ふと頭に浮かんできたのが、そのトンカツ屋を紹介していたサイト内の「県外から来た人は必ずここに連れていくんですが、いつも満足して帰ってくれてます。」という言葉です。私は、完全に「トンカツ食べたいモード」のスイッチが入り、「1時間くらいなら、ご飯食べに行っても支障は無いか!」なんて思い、そのトンカツ屋を目指し、自転車をこぎ出しました。そして、ようやくそのトンカツがあるビルの前に到着。ビルの看板にも「B1F とんかつ丸○」と書かれています。

「おっ、あるある♪ さあ、思いっきり食うぞ! チェストー!!」

とは恥ずかしくて叫びませんでしたが(笑)、それぐらいの嬉しい気持ちでいたことは確かです。私は、ビルの中に入り、地下1階に降りる階段を見つけると、足早に階段を降りていきました。私の胸には、「県外から来た人を満足させるトンカツ」への期待、そして空腹、この二つとが混ざり合って、競馬で言うと、かなり「かかり気味」だったのです。(←競馬を知らない皆様へ。競馬で「かかる」とは、「我を忘れて走る」というような意味で使われるんです。競馬の解説では「あの馬は少しかかっているので、心配ですね。」とか使うのです。なので、余りいい意味で使われない言葉なのです。)
 さて、地下に降りた私は、早速、案内地図を発見してトンカツ屋の場所を確認し、そこに向かうと、何と!店が工事中か潰れたのか知りませんが!無いのです!!!!
案内図に示された店の位置には、白く塗られたベニヤ板が張り巡らされ、店の痕跡すらありません。

「何やねんなあ〜、潰れてるやんけ。ほんまなめてるわ〜。」

と、私は怒りの余り、思わず汚い大阪弁を鹿児島で炸裂させてしまいましたが、その後、怒りと言うより、何とも言えない疲れと悲しさが体中を襲いかかり、ほんとうに心から落胆しました。
 食べ物屋関連のサイトを管理している皆さん。皆さんのサイトの内容を見て、その紹介されている食べ物屋に行く人間もいるのです!なので、出来る限り最新情報を掲載して下さいな。ほんま頼みまっせ・・・(涙)。
 こんな訳で、私はすぐに黒豚のトンカツが味わえると思っていたのに、「お預け状態」という地獄谷に蹴落とされてしまったのです。(←大げさですか?だけど、それくらいショックがひどかったのです。)しかし、折角ここまでわざわざトンカツを食べるために戻って来たのですから、絶対、トンカツを食べよう!と私は心に誓いました。
 そして、私は次に、よく雑誌等で紹介されている有名なトンカツ屋『黒○○』に行こうと考えました。この店は、前々から名前は聞いていたのですが、まだ、一度も行ったことがなかったのです。なので、今回の旅では、この店も私のリストの中に入っていました。(善は急げ!)私は大阪から持ってきたガイドブックのコピーを取り出し、一路、そのトンカツ屋へ直行しました。先程、「店が潰れている」という悲しい現実を目の当たりにした私でしたが、もう一度目標に向かう気力を奮い起こし、自転車をこぎました。
 しかし・・・。ガイドブックに示されているはずの場所に、そのトンカツ屋が無いのです!
(地図が少しズレてるのかもしれんなあ・・・。)
そう思った私は、その付近を自転車でぐるぐる周ったのですが、トンカツ屋の「ト」の字も見つかりません。しかし、私は、なおも諦めません。トンカツに対する執念が私に火をつけていました。
(俺は必ずトンカツを食う!)
 私は、根気良く、一つずつ店舗が入っているビルを確認してまわったり、本屋さんに入り、色んなガイドブックで再びそのトンカツ屋の場所を確認したりしたのですが、何度行ってもガイドブックに書かれているその場所にはトンカツ屋が無いのです(爆泣)。

(何でないねん・・・。神様、あなたは私にどうしてもトンカツを食わさないおつもりなのでしょうか・・・。)

 私はほんとうに悲しい気分になりました。もう時計を見ると、2時になっています。かれこれ、トンカツ屋に行ったり、探したりした時間は、もう約1時間になっていたのです・・・(泣)。
(1時間あれば、どれだけの史跡が周れたことか・・・。)
 私はそんな事を考えながら、なおも店を探しましたが、結局みつかりません。私は、自転車をこぐ元気もなくなり、手で押しながら、天文館のアーケード内を歩いていました。「トンカツが駄目なら何食べようか・・・」なんて暗い気持ちで歩いていたのですが、そこに偶然にも、私の目の前に、一軒のトンカツ屋が現れたのです。
 その名は、『とんかつ○兵○』。私は、目的の2軒のトンカツ屋に行くことは出来ませんでしたが、偶然にトンカツ屋に巡り合えたのも何かの縁であろうと思い、その店に入ってトンカツを食べることにしました。
すると・・・
 何と!その店のトンカツのやわらかいこと、おいしいこと!「これが豚か?」と思うほどの肉の柔らかさとジューシーさ。私は非常に感動しました。こんなおいしいトンカツに巡り合えたのも、1軒目の店が潰れていて、2軒目の店が見つからなかったお陰です。

(神様、いや、もしかすると西郷さん?、私においしいトンカツを食べさせてくれてありがとう。)

 天文館にある『とんかつ○兵○』の黒豚ロースカツ定食。(←ランチではありません。ランチは肉が小さいみたいなので。)値段は千うん百円ですが、食べてみる価値ありですよ〜。
平成13年8月29日(水)<晴>「驚きの!?鹿児島到着」(鹿児島旅行編1)
 1泊2日の強行軍だった鹿児島旅行から帰って参りました!この旅でも、嬉しいことや、腹の立ったこと、そして感動したこと、色んな出来事がありました。そんな鹿児島の旅日記を何回かに分けて書く事にします。
 28日(火)午後8時02分、大阪から長距離夜行バス「トロピカル号」に乗って一路鹿児島に。いつもの事ながら、私は行きのバスでの寝つきが非常に悪いんです。皆さんも経験ありませんか?小学生の時とか、遠足前夜になかなか眠れなかったこと。あれがまだ残っているんですよね(笑)。特に鹿児島に行く時は、なかなか眠れないんです。そうそう、興味のある方もいると思いますので、長距離夜行バスについて少し書きますね。
 よく、長距離バスは、スキーに行く夜行バスのようなものを想像して、「しんどい」とか「狭くて、眠れない」とか思っておられる方が多いと思いますが、長距離夜行バスは意外と快適なんですよ。まず、席は普通の観光バスとは違って3列シートなんです。つまり、隣の席がなくて、通路になっているんです。そして、トイレもちゃんと完備されてますし、バス設置のお茶やジュースやコーヒーも飲める。そして、何と言っても値段が安い!これが一番ですよね。長距離夜行バスに乗って旅行された事の無い皆さん、一度お試しにバスの旅を体験されてみてはいかがでしょうか。
 さてさて、話を本題に戻して、私が鹿児島に到着したのは、29日(水)午前7時00分でした。いつもなんですが、バスを降りて桜島を見ると、「チェストー」と叫びたくなる衝動にかられます(笑)。鹿児島に行かれたことのない皆さん、是非一度、鹿児島を旅されて、夏の燃え上がるような桜島を見て下さい。ほんと、最高です!私にとって、あれ以上の景色はないですね。なぜなら、私は大阪人ですが、ほんとうに鹿児島を愛しているのですから(笑)。
 この日の鹿児島の天気は、史跡巡りには絶好の快晴。西駅(西鹿児島駅)のすぐ前にあるバス停を降りた私は、まず、コインロッカーに荷物を入れようと思い、荷物を分け始めました。そうそう、私が旅行する時に愛用しているのが、分離式になっている緑色のリュックサックです。(定価2万円くらい)このリュックは、分離式と書いているように、小さなリュックと大きなリュックの2つに分離する大変便利な代物なのです。また、小さなリュックと言っても、ちょっとしたハイキングに行けるくらいの大きさなので、これに史跡巡り関係の地図や資料を詰め込み、いつも旅先での移動用として使用しているのです。(大きなリュックには衣類等を入れて、コインロッカーへ。)
 さて、そのバス停付近で大きなリュックと小さなリュックに分離させた私は、西駅の方に向かおうと歩き始めた時、ある一人の若い女性が私の方に向かって歩いてきます。
(おっ、薩摩美人やなあ。)
と雑念の多い独身男の私は、咄嗟に思いました(笑)。その女性は、通勤途中の会社員というような服装で、肩からバックを提げ、顔立ちも非常に品のある綺麗な女性です。だけど、美人とすれ違う事なんて、大阪であろうが、鹿児島であろうが、道を歩いていれば日常茶飯事のことですから、特に何も考えずに駅の方に歩き続けると、なんと、その女性が私に向かって、

「ツブさんですか?」

と言ってくるのです!!!!!
(エッ〜〜〜〜〜〜〜〜)
ビックリ仰天!!私は、その意外な一言に驚きました!だって、鹿児島という土地に着いて、いきなり知らない女性に名前を呼ばれた訳ですから。私は驚きを隠せませんでしたが、何とか小声で、
「ハ・・イ・・・、そうですけど・・・」
と答えると、その女性は少し微笑んで、

「やっぱり、敬天愛人のツブさんでしたか♪」

と言ってくるではありませんか!
(一体、どういうこと???)と?マークが頭に3つくらい浮かび上がりましたが、その女性は続けて言います。
「私、敬天愛人の大ファンで、今日、ツブさんが夜行で鹿児島に来られると日記に書いてあったので、少しお会いしたいと思って、ここで待っていたんです。」
私はここで(あっ、「走れ!吉之助」を見て来てくれたんだ。)と少し安心したのですが、すごく大きな疑問が浮かびました。なぜなら、バスから降りてくる男性なんてたくさんいたのに、なぜ私のことが分かったのかがよく分からなかったからです。なので、私は、
「だけど、よく僕が分かりましたよね〜。」
と笑いながら言うと、その女性は、クスッと笑って、

「私も分からないかな、と思っていたんですけど、それで分かりました。」

と私の右手を指差すのです。その瞬間、
(あっ!、そうか!!!!)
と、私は全てを悟りました。私の右手には、雑誌の「週間プレイボーイ」が握られていたのです。そうです、出発前の日記(8/28の日記)で書いたあの「週間プレイボーイ」です(笑)。バスの中で全部読んでしまったので、駅のゴミ箱に捨てようと思って、私は手に雑誌を持っていたのです。それを、その女性が見て、私と確認したのです。私は、思わず、
「あっ、そうですか。これで分かりましたか。」
と言った後、大きな声で笑ってしまいました。
 その女性(名前は伏せます)は、私のHPを見て頂いている鹿児島在住の方で、「敬天愛人を制作している管理人さんは、どんな人なんだろう?」(←本人さんの談によると、ちょっと変な人だったら、声をかけないで帰ろうと思っていたらしいです・笑)と思い、通勤途中にもかかわらず、バス停で待っていてくれたのです。そして、バスから降りてきた私を見極める決め手となったのが、「週間プレイボーイ」だったとは(笑)。世の中、驚きの対面なんてあるものですね。その後、少しの間お話して、○○さんは仕事に向かわれました。そうそう、この日記については、私が「この出来事を日記に書いていいですか?」と聞くと、○○さんは、「え〜、いいんですか?是非、書いて下さい!楽しみにしてます!」とおっしゃってくれたので、その全容を書くことにしました。
 ○○さん、わざわざバス停にまで来て下さって、ほんとうにありがとうございました。また、私の姿を直接見た方は、○○さん、あなたが初めてなんですよ(笑)。だけど、それが鹿児島の人だったとは、やはり私は鹿児島に縁があるのかなあ(笑)。
平成13年8月28日(火)<晴> 「さあ、出発だ!」
  いよいよ、今晩から、夜行バスに乗って、鹿児島に旅立ちます。準備はもう万端です。おいしい黒豚を食べられる店や地元で人気のラーメン屋もチェックしたし(←食べ物ばっかりかいな!)、後はもう出発時間を待つだけです。
 そうそう、バスの中で暇つぶすために、雑誌も買いましたよ。本日発売の「週間プレイボーイ」。私は長距離バスに乗る時は、必ず「週間プレイボーイ」を買って乗るんです。えっ?tsubuさん、いやらしいなあ、ですって。勘違いしないで下さいよ。言っておきますが、週間プレイボーイは、何も全ページグラビアばかりではないんです!サッカーや野球の連載記事もありますし、時事問題だってちゃんと扱っているんですから。まあ・・・、グラビアページも確かにありますけど(汗)。とにかく、日本の「週間プレイボーイ」は、そんなにいやらしくありません!いやらしいのは、アメリカの雑誌の「プレイボーイ」です。
 えっ?何もそんなにムキにならんでも、ですって。失〜礼、いたしました(笑)。
 とにかく、元気に行って参りま〜す♪
平成13年8月27日(月)<晴> 「恐怖の盆休み」
 今日は、仕事の帰りに本屋に寄ろうと思っていたので、いつも降りる最寄駅ではなく、一つ手前の駅で電車を降りました。しかし、本屋では探していたものが見つからなかったんですよね。なので、一駅だけ電車に乗るのももったいないんで、歩いて帰ろうと思い立ちました。(その駅から自宅までは歩いて10分程度の近距離なんです。)えっ?定期を持ってないの?ですか。定期ないんですよね。たまに車で職場に行く事があるんで。
 さてさて、その駅から自宅まで歩いていく内に少しノドが乾いたので、お茶を買おうと思って、帰り道にあった、ある○○焼き屋の前にある自動販売機に立ち止まりました。そして、私は財布から120円を出し、自販機に投入したのですが、品物の下にある「押す」のボタンランプが光りません。

(あれっ〜、お金がつまったんかなあ?)

と思い、お金の投入口を2、3回、コンコンと叩いてみたんですが、全然ランプが光りません。

(おかしいなあ・・・)


私は次に、こう言う時に「お決まり」の返却レバーをガチャガチャとひねる行為に出たのですが、お金も戻ってこないのです。

(どないなっとんねん!?)

私は汚い大阪弁を口に出しかけましたが、何とか冷静を保ち、今度は、自販機の側面をコンコンと叩いて、詰まったお金を出そうとしました。しかし、依然お金は戻ってきません。
 しかし、私はまだ冷静を保ちました。何とか詰まったお金を通すために、返却レバーをガチャガチャとやりながら、お金の投入口を2、3回、コンコンと叩いてみるダブル技を使ったのです。しかしながら、そんな私の謙虚な努力も空しく、自販機はウンともスンともいいません。
 私は、ここまで来た時、一瞬、タイガーマスクばりのローリングソバット(後ろ回転蹴り)を自販機に食らわしたい衝動にかられましたが、もしそんな場面を近所のおばちゃんに見つかったら、社会人としてめちゃめちゃ恥ずかしいじゃないですか。なので、ここは自販機を置いている○○焼き屋さんに「お金つまったんですけど〜」と言おうと思い、店前に立つと、驚くべき一枚の張り紙がしてあったのです。

「8月27日(月)から9月2日(日)まで、お盆休みのため休業させて頂きます。店主」

(にゃにお〜!!)
「9月2日までお盆休みやって!!あほか!お盆休みって、もうお盆なんてとっくの昔に過ぎとるやないけ!9月は秋やぞ!秋休みって書け!この○○焼き屋!!」

と汚い暴言を吐きたい衝動にかられましたが、もしそんな場面を近所のおばちゃんに見つかったら、何を噂されるか分かりません。なので、その悔しさと怒りをどこにもぶつけられない私は、ぐっと我慢して、家路につきました。 しかし、9月2日の盆休みの間まで、あの自販機にはいくらのお金がたまるのでしょうか?
 あっ!!もしかして、あの○○焼き屋のオヤジ、わざと自販機つまらせて儲けようと思ってるんちゃうやろなあ(笑)。
平成13年8月26日(日)<雨> 「大失態」
 大阪は、今日は朝から雨。
 雨が降っているので家にずっといようと思っていたのですが、そうはいきません。実は、私は火曜日の夜から、一路鹿児島に行く予定なのです♪(嬉)。だけど、日程は1泊2日の強行日程なんです。少し簡単に旅の予定を説明しますと、28日の火曜日、仕事が終わった後、午後8時02発の鹿児島行き長距離夜行バス「トロピカル号」(←ものすごいネーミング・笑)に乗って、大阪の上本町近鉄バスセンターを出発。翌日の午前7時13分に西鹿児島駅着。そして、その日は鹿児島に1泊。翌日、午後6時50分発の大阪行き長距離夜行バス「トロピカル号」(←またかいな!)に乗って大阪に帰るという、若さ溢れる人間(←自分のこと・笑)でなければ疲れてしまうような強行日程です。
 さてさて、そんな事で、実は、そのバスのチケットを今日引き換えに行かなければならなかったのです。何せもう出発2日前なんですから。なので、雨がショボショボと降る中、大阪市営地下鉄に乗り込み、「谷町九丁目」という駅で下車しました。大阪人は、「谷町九丁目(たにまちきゅうちょうめ)」という場所を、「谷九(たにきゅう)」と略して呼びます。なぜだか分からないんですけど、大阪には「○○何丁目」という場所を、よく縮めて略して呼ぶ傾向があるんですよね。さっきの「谷九」もそうですが、「天神橋筋六丁目(てんじんばしすじろくちょうめ)」という場所を、大阪人は「天六(てんろく)」なんて呼びます。いつもせっかちな大阪人ならではの傾向かもしれません。
 さて、「谷九」で地下鉄を降りた私は、鹿児島行きのバスが発着する上本町近鉄バスセンターへと向かいました。実は、バスセンターがある「上本町六丁目(うえほんまちろくちょうめ)」という場所は、「谷九」のすぐそばなんです。えっ、もう勘の良い人は分かりました?そうです、大阪人は「上本町六丁目」を「上六(うえろく)」と呼ぶんですよ(笑)。
 そんなこんなで、「谷九」から「上六」まで歩いて5分。目的のバスチケットを扱っている代理店へと辿りつきました。「さあ、着いたぞ」と思い、自動ドアから店内へ。すると、目の前の受付カウンターに一人の可愛く、そして可憐な女性が座っているではありませんか!もうそれはそれは、めちゃめちゃ可愛い女性だったのです!!!(←感動を伝えたくて、!を3つ付けてみました・笑)
 私は、そんな女性の登場にビックリしました。私は、まさに「ハトが豆鉄砲くらった」状態になっちゃったのです。だって、ここ数年旅行するときは、この代理店を利用していたのに、今まで対応に出てきたのは、おばちゃんと汗臭い兄ちゃんばかりだったんですから。それが、今日は、何と可憐な一輪の花。私は年甲斐もなく、まさに舞い上がってしまっいました。そんな私の動揺をよそに、その可憐な女性は、私に向かって、

「いらっしゃいませ」

と笑顔で言ってくるではありませんか。(←当たり前のこと・笑)
私はその女性の笑顔に、完全に我を失ってしまいました。そして、その女性の笑顔に対して、私の口から出た一言は、予想もしない言葉だったのです。

「あっ・・・あのう、バチュの券を引き換えにきたんですが。」

(バ・・・・バチュ???? しもた〜〜〜!!!!)
私は、10代や20代の若い男でもないのに、大失態を犯してしまいました。その女性が余りにも可憐だったので、極度に緊張してしまい、「バス」「バチュ」と言ってしまったんです(ワーン、大泣)。
実は、同じような事が以前にも一度ありました。旅先で、レンタルサイクルを借りようと自転車屋さんに入ると、応対に出てきた女性が余りにも可愛いかったので、緊張の余り、

「じてんちゃ、借りたいんですが・・・」

と言ってしまったことがあるんです(またまた、大泣)。
私は、余りにも可愛い女性を前にすると、「さしすせそ」「たちつてと」になってしまう傾向があるようです。(三度目の大泣)

「バス」を「バチュ」と言ってしまった私の顔は、おそらく「ゆでタコ」か「ゆでカニ」、はたまた街角に立つ「郵便ポスト」のように、真っ赤に紅潮していたことでしょう。しかし、その女性はクスッと少し微笑んで、
「バスのチケットですね!」
と笑顔で返してくれました。
可憐な一輪の花さん、あなたは何てやさしいの!
これから旅行に行く時は、必ずこの代理店を利用しますからね!
だけど、今度行ったら、いつもの汗臭い兄ちゃん出て来そう(笑)。
平成13年8月25日(土)<晴> 「どんなヤツやねん!」
今日は、訳の分からんと言うか、笑える出来事がありました。
今日の午後2時頃、家でテレビを見ていたら、携帯電話が倉木麻衣の「Reach for the sky」を奏でた(着メロは、倉木麻衣。クッキー好きなんです・笑)ので、携帯電話の表示を見てみると、全然知らない番号が表示されているんです。
「う〜ん・・・誰やろ?」と思いながら、電話に出て見ると、女性の声で、「もしもし、ヨシキ?」の一声。
私は、「うん、そうやけど」と答えました。(私の本名は、○○○○ヨシキと申します。)
すると、その女性は、

「マキで〜す。昨日の夜は、どうもありがとう。ヨシキと一晩中過ごせて、めっちゃ嬉しかった!」

と、めちゃめちゃなハイテンションで話しかけてくるではありませんか。
(マキ?昨日??一晩中???)
私は瞬時にパニック状態になりました。だって、私にはマキなんていう女性の知り合いは、いないんです。また、昨日の夜は、自宅に居て、夜中は「幕末会津藩」のチャットに参加していたんです。
しかし、そんな私のパニック状態をよそに、そのマキさんは、

「だけど、ヨシキったら、体はガッチリしてるのに、結構甘えん坊やね〜。うふっ。だけど、そんなヨシキ、可愛かった♪」

と言ってくるではありませんか。
(甘えん坊???????)
私は二重パニックに陥りました。だって、何が何だか訳が分からなかったんです。長野県知事の田中康夫の言葉を借りるなら、「思考停止状態」に陥っていたのです。
だけど、私は何とか正気を取り戻し、
「えっ・・・、ど・・・どちらのマキさんですか?」
と言い返したんですが、マキさんは、手加減してくれません。マキさんは、マシンガントークで、
「もう、やだあ〜、とぼけちゃって。それって、ヨシキのギャグ?ハハハハ。そう言えば、ヨシキって落研だったよね?だけど、面白くな〜い、そんなの。」
(落研??????)
私は、またも「思考停止状態」に陥りかけましたが、何とか正気を持続し、もう一度、強く言いました。
「間違い違うかなあ?僕ね、○○○○ヨシキっていうんやけど。」
すると、その私の言葉を聞いたマキさんは、ついさっきまで5速に入っていたハイテンションが、急に1速になったようなローテンションに変化し、
「○○○○??(←私の名前)」と言うなり、「ブチッ」って電話を切りました。

もう、お分かりですよね?すごい偶然だと思いません?名前がたまたま同じ人間の私に、マキさんは間違い電話をかけてきたんですよ。こんな出来事って、皆さん経験ありますか??だけど、マキさんのお相手の人物像をまとめると。

(体はガッチリしているが、甘えん坊。それでいて、落研(落語研究会)出身。)

どんなヤツやねん!!!